長曽祢興正(二代虎徹)(ながそねおきまさ)は、業物位列で「最上大業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・最上作」に位置づけられている刀工です。
長曽祢興正(二代虎徹)とは
長曽祢興正(ながそね おきまさ)は、江戸時代前期に武蔵国江戸で作刀した刀工で、名工・長曽祢興里(虎徹)の跡を継いだ「二代虎徹」として知られます。師と同じく「最上大業物」に選ばれており、切れ味でも高く評価された刀工です。
系譜と経歴
興正は初代長曽祢興里(虎徹)の弟子で、養子となって二代目を継ぎました。実子とする見方もあり、はっきりしない部分があります。通称は庄兵衛と伝えられます。
初代が延宝6年(1678年)に没した後が主な活動期で、年紀のある作は1670年代前半から1690年頃にかけて見られます。はじめは師の近くで鍛刀し、のちに江戸の神田へ移ったとされます。二代目として「虎徹」の名を継いではいるものの、実際に「虎徹」と銘に切ることはあまり多くなかったようです。
作風の特徴
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 姿 | 反りが浅く、江戸新刀らしい端正な姿 |
| 地鉄 | 板目肌 |
| 刃文 | 数珠刃風の互の目乱れ、広直刃 |
| 銘 | 「長曽祢興正」「長曽祢虎徹興正」「長曽祢虎徹二代目興正」など |
全体として師・興里の作風をよく受け継いでおり、見た目の雰囲気はかなり近いといわれます。数珠刃などの刃文の見方は刃文の解説を参考にしてください。
鑑賞・購入のポイント
- 初代と作風が似ているうえ、どちらも人気が高いため、興正にも偽物が多いとされます。購入の際は日本美術刀剣保存協会などの鑑定書の有無を必ず確認しましょう。
- 「虎徹」と呼ばれる刀には初代・二代の両方が含まれます。銘の文字(興里か興正か、「二代目」の有無)を確かめることが第一歩です。
- 価格だけで判断せず、刀身の状態や鑑定内容と合わせて検討するのが安心です。
新刀期の位置づけは時代区分の解説、切れ味の格付けは業物位列で詳しく紹介しています。
基本情報
| 刀工名 | 長曽祢興正(二代虎徹) |
|---|---|
| 読み | ながそねおきまさ |
| 時代 | 新刀 |
| 国 | 武蔵 |
| 代 | 二代 |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 業物位列 | 最上大業物 | — |
| 刀剣要覧の位列 | 新刀・上々作 | 第22版 |
| 刀工辞典の位列 | 新刀・最上作 | — |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 業物位列:「最上大業物」——この位列に掲載された172工のうちの一人で、4段階中、上から1番目の位です。江戸時代の試し斬りの結果をもとにした、切れ味の格付けです。刀の美しさや出来を評価したものではありません。(一覧を見る)
- 刀剣要覧の位列:「新刀・上々作」——新刀の部に掲載された541工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
- 刀工辞典の位列:「新刀・最上作」——新刀の部に掲載された478工のうちの一人で、5段階中、上から1番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
新刀(慶長年間〜江戸中期)
新刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)から江戸時代中期ごろまでに作られた日本刀を指します。戦乱が収まって城下町が整えられ、刀工が各地の城下に集まって作刀するようになり、華やかな刃文の作も多く生まれました。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
武蔵の新刀の作風の傾向
江戸(武蔵)の新刀は寛文新刀期(1661〜1680年頃)を中心に作られ、鎖国による南蛮鉄の輸入停止や、大小二本差しの定着で携帯しやすい短めの刀が求められたこと、1657年の明暦の大火後の需要増などが背景として挙げられる。実用的な「よく斬れる」刀として知られ、試し斬りの截断銘が多く入るとされる。
以下は産地全体の一般的な傾向で、個々の刀工によって異なります。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | ほど良い長さで反りが浅く、切先が延びて重ねが薄い実用的な姿とされる。 |
| 地鉄(じがね) | 小板目肌に柾目が交じり、黒みを帯びた質実な地鉄とされる。 |
| 刃文(はもん) | 焼幅の広い広直刃で地味な作柄とされる一方、別の解説では足の入った互の目乱れや湾れを得意としたとされ、刀工により幅がある。 |
「江戸新刀」の一般像であり、武蔵の刀工全てが広直刃・黒みの地鉄というわけではない。虎徹は互の目・数珠刃、石堂派は福岡一文字に倣うなど系統差が大きく、出典間でも刃文の説明が異なる。
関連する刀工・ページ
同じ時代・同じ国(新刀・武蔵)の刀工
武蔵国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。
まとめ
長曽祢興正(二代虎徹)は、業物位列で「最上大業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・最上作」と位置づけられている新刀の刀工です。武蔵国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。
出典
- https://ja.wikipedia.org/wiki/刀剣の業物一覧
- http://www.tsuruginoya.com/mn1_6/mn6_5_4.html
- https://www.meihaku.jp/sword-basic/saijo-owazamono-12-15/
- https://katananokura.jp/hpgen/HPB/entries/50.html
- https://k.n-owner.jp/刀を知る/新刀列位
- https://www.tsuruginoya.com/infomation/data/iretsu-shinto
- https://k.n-owner.jp/刀を知る/新刀列位/
- https://ja.wikipedia.org/wiki/長曽祢興正
- https://www.touken-world.jp/sword-artisan-directory/nagasone-kotetsu/
- https://www.meihaku.jp/sword-basic/edoshinto-about/
- https://www.touken-world.jp/tips/22786/