徳鄰(初代)(市毛)(のりちか)は、刀剣要覧の位列で「新々刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新々刀・上々作」に位置づけられている刀工です。
市毛徳鄰とは
市毛徳鄰(いちげとくりん)は、江戸時代後期に常陸国水戸藩の抱え刀工として活躍した刀工で、水戸市は幕末の水戸藩を代表する刀工と位置づけています。刀のほか鐔を作ったことも知られています。
系譜と経歴
水戸市教育委員会の解説によると、水戸藩士の久米新七郎徳に師事し、文化6年(1809年)に水戸藩の刀工となって源左衛門と称しました。天保元年(1830年)には京都に出て伊賀守の受領名を持つ刀工に入門し、近江介と名乗ったのち水戸に戻りました。天保6年(1835年)に59歳で没しています。
代表作
- 刀(市毛徳鄰作)(水戸市指定文化財、個人蔵):天保5年(1834年)の作で、刃長70.3cm、反り1.5cm。昭和40年(1965年)に水戸市の文化財に指定されました。没する前年の作にあたります。
鑑賞・購入のポイント
徳鄰の名は後代にも受け継がれたとされるため、「徳鄰」銘の作は代の確認が必要です。刀剣店では、水戸藩抱え工の初代市毛徳鄰作とされる鐔も紹介されており、刀匠鐔の作者としての一面もあります。
基本情報
| 刀工名 | 徳鄰(初代)(市毛) |
|---|---|
| 読み | のりちか |
| 時代 | 新々刀 |
| 国 | — |
| 代 | 初代 |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 刀剣要覧の位列 | 新々刀・上々作 | 第22版/名寄せ:旧slug norichika-shinshinto-1 |
| 刀工辞典の位列 | 新々刀・上々作 | — |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 刀剣要覧の位列:「新々刀・上々作」——新々刀の部に掲載された237工のうちの一人で、4段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
- 刀工辞典の位列:「新々刀・上々作」——新々刀の部に掲載された224工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
新々刀(江戸後期〜明治初期)
新々刀とは、江戸時代後期(1770年代ごろ)から明治9年(1876年)の廃刀令のころまでに作られた日本刀を指します。水心子正秀らが古刀の作風への復古を唱えたことで知られます。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
まとめ
徳鄰(初代)(市毛)は、刀剣要覧の位列で「新々刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新々刀・上々作」と位置づけられている新々刀の刀工です。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。