和泉守国貞(いずみのかみくにさだ)は、業物位列で「大業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・上々作」に位置づけられている刀工です。
和泉守国貞(初代)とは
初代和泉守国貞(いずみのかみくにさだ)は、江戸時代初期に摂津国大坂で活躍した刀工です。河内守国助(初代)とともに「大坂新刀」の基礎を築いた一人とされます。名工井上真改の父であることから、区別のため「親国貞(おやくにさだ)」と呼ばれます。
系譜と経歴
刀剣ワールドによると、日向国(現在の宮崎県)の寺の跡取りとして生まれましたが、京都に出て新刀の祖とされる堀川国広に入門しました。師の没後は、国広の高弟である越後守国儔の指導を受けたと伝わります。
1620年ごろに独立して大坂へ移り、同じ堀川一門の国助と並んで大坂での作刀の土台をつくりました。のちに和泉守を受領します。受領の年は、刀剣ワールドは1623年(元和9年)、Wikipediaは元和5年と記しており、資料によって違いがあります。故郷日向の飫肥藩主・伊東家から厚く信任され、知行を与えられたとも伝えられます。
晩年は病のため、次男の真改に代わりに刀を打たせる「代作」が多くなったとされます。真改ははじめ父と同じ「国貞」銘を使い、のちに「大坂正宗」と称されるほどの名工になりました。
作風の特徴
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 地鉄 | よく詰んだ小杢目肌。鍛えが優れていると評される |
| 刃文 | 沸出来の華やかな刃文。さまざまな乱れ刃を焼き、作域が広い |
| 流れ | 堀川派の伝統を受け継ぎつつ、大坂新刀らしい明るい出来 |
鑑賞・購入のポイント
「和泉守国貞」の銘は、親国貞本人の作のほか、晩年に真改が代わりに打った作、さらに真改が真改と名乗る前に切った国貞銘の作があります。そのため、同じ銘でも作者が誰かは専門家のあいだでも見解が分かれることがあります。刀剣ワールドには重要刀剣に指定された「和泉守国貞」銘の刀も収蔵されています。購入するときは、鑑定書でどの代の作と判断されているかを確認しましょう。
基本情報
| 刀工名 | 和泉守国貞 |
|---|---|
| 読み | いずみのかみくにさだ |
| 時代 | 新刀 |
| 国 | 摂津 |
| 代 | 初代 |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 業物位列 | 大業物 | — |
| 刀剣要覧の位列 | 新刀・上々作 | 第22版 |
| 刀工辞典の位列 | 新刀・上々作 | — |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 業物位列:「大業物」——この位列に掲載された172工のうちの一人で、4段階中、上から2番目の位です。江戸時代の試し斬りの結果をもとにした、切れ味の格付けです。刀の美しさや出来を評価したものではありません。(一覧を見る)
- 刀剣要覧の位列:「新刀・上々作」——新刀の部に掲載された541工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
- 刀工辞典の位列:「新刀・上々作」——新刀の部に掲載された478工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
新刀(慶長年間〜江戸中期)
新刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)から江戸時代中期ごろまでに作られた日本刀を指します。戦乱が収まって城下町が整えられ、刀工が各地の城下に集まって作刀するようになり、華やかな刃文の作も多く生まれました。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
摂津の新刀の作風の傾向
秀吉の大坂城築城以後、商業都市として栄えた大坂(摂津)に各地から刀工が集まり、「大坂新刀」と呼ばれる一群が形成された。町人など富裕層の需要を背景に、実用一辺倒でなく装飾性・技巧性の高い作風が発展したとされる。
以下は産地全体の一般的な傾向で、個々の刀工によって異なります。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 新刀全般の傾向として身幅が広く反りが浅い姿とされ、大坂新刀では実用より装飾性が重んじられたと解説される。 |
| 地鉄(じがね) | 鋼の産地(備前・播磨・出雲)に近い立地もあり、精緻によく詰んだ地鉄の美しさが際立つとされる。冴えた沸が付く「大坂沸」も特徴に挙げられる。 |
| 刃文(はもん) | 華やかで技巧的な刃文が好まれ、津田助広が創始した濤瀾乱刃のほか、拳形丁子、簾刃などが見られる。焼き出しが細く始まり次第に幅を増す「大坂焼き出し」と、小丸の帽子も特徴とされる。 |
摂津の刀工が皆この作風というわけではなく、堀川系・相州伝・美濃伝など出自の違いによる個人差が大きい。江戸新刀が武骨とされるのとの対比で語られることが多い点にも注意。
関連する刀工・ページ
同じ時代・同じ国(新刀・摂津)の刀工
摂津国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。
まとめ
和泉守国貞は、業物位列で「大業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・上々作」と位置づけられている新刀の刀工です。摂津国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。
出典
- https://ja.wikipedia.org/wiki/刀剣の業物一覧
- http://www.tsuruginoya.com/mn1_6/mn6_5_4.html
- https://www.meihaku.jp/sword-basic/owazamono-21/
- https://katananokura.jp/hpgen/HPB/entries/50.html
- https://k.n-owner.jp/刀を知る/新刀列位
- https://www.tsuruginoya.com/infomation/data/iretsu-shinto
- https://k.n-owner.jp/刀を知る/新刀列位/
- https://ja.wikipedia.org/wiki/初代和泉守国貞
- https://www.touken-world.jp/sword-artisan-directory/kunisada-izuminokami/
- https://www.touken-world.jp/tips/22784/
- https://www.meihaku.jp/ginga-sword/ginga-kawachinokamikunisuke/
- https://www.osaka-touken-world.jp/osaka-sword/osaka-shinto/