左国弘(さのくにひろ)は、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」に位置づけられている刀工です。
左国弘とは
左国弘(さのくにひろ)は、南北朝時代の正平年間(1346〜1370年)ごろに筑前国で作刀した左文字派の刀工です。「大左」と呼ばれる左文字の高弟の一人に数えられ、とくに短刀を得意としました。
系譜
四国新聞社の連載「金刀比羅宮 美の世界」によると、国弘は左吉弘の子といわれ、大左の直門とみられています。左文字派からは安吉・吉貞・国弘・弘行など多くの刀工が出ており、国弘もその中で師の作風を受け継いだ一人です。
代表作
- 重要文化財 短刀 銘筑州住国弘作(金刀比羅宮)…刃長27.4cm、反り0.2cm。大正11年(1922年)に旧国宝に指定され、明治16年(1883年)に明治天皇が金刀比羅宮へ寄進したと伝わります。刃中の働きが激しく、千変万化する華やかな刃文に国弘の力量がよく表れた数少ない名品と評されています。
鑑賞・購入のポイント
- 銘は「筑州住国弘作」の形式が知られます。在銘作は少なく、真作に出会う機会は多くありません。
- 左文字派の短刀は、師の大左の作と比べて見ることで、それぞれの個性が見えてきます。
基本情報
| 刀工名 | 左国弘 |
|---|---|
| 読み | さのくにひろ |
| 時代 | 古刀 |
| 国 | — |
| 代 | — |
| 流派 | 左文字派 |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 刀工辞典の位列 | 古刀・上々作 | 刀工辞典の時代区分:中古刀(元応-長禄) |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 刀工辞典の位列:「古刀・上々作」——古刀の部に掲載された615工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
古刀(〜慶長年間)
古刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)より前に作られた日本刀を指します。平安時代後期から安土桃山時代にあたり、武士の世の中で日本刀が実戦の武器として発達し、大和・山城・備前・相州・美濃の五箇伝の作風が生まれた時代です。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
左文字派の作風と鑑定のポイント
以下は左文字派全体の一般的な傾向です。個々の刀工・代によって異なり、例外も多くあります。流派の詳しい解説は左文字派とはをご覧ください。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 太刀のほか短刀も知られ、九州物らしい素朴さから離れた、品のよい洗練された姿とされる |
| 地鉄(じがね) | 小杢目肌(こもくめはだ)がよく詰み、明るく冴える |
| 刃文(はもん) | 沸(にえ)出来ののたれ乱れを基本とした乱れ刃。刃幅に広い所と狭い所があり、沸の働きに覇気がある。「馬の歯乱れ」と呼ばれる刃も焼く |
| 帽子(ぼうし) | 小沸で尖りごころに返る、地蔵風の帽子で「左文字帽子」とも呼ばれる |
| 茎・銘(なかご・めい) | 表に「左」の一字を切り、裏に「筑州住(ちくしゅうじゅう)」と切るものがある |
相州伝(五箇伝)の傾向
相州伝は五箇伝の一つです。傾向の詳細は相州伝とはで解説しています。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 身幅が広く、切先が延びる豪壮な姿が多い。刀身の中ほどで反る「中反り(なかぞり)」のものも見られる |
| 地鉄(じがね) | 板目肌(大板目が交じるものも)に地沸(じにえ)が厚く付き、地景(ちけい)などの働きが多い |
| 刃文(はもん) | 焼幅が広く、荒い沸が付いた、のたれや互の目(ぐのめ)主体の変化に富んだ乱れ刃。金筋(きんすじ)・稲妻(いなずま)などの働きが見られる |
| 帽子(ぼうし) | 沸の強い乱れ込みで、掃きかけ(はきかけ)るものなどが見られるとされる |
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まとめ
左国弘は、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」と位置づけられている古刀の刀工です。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。