一平安代(いちひらやすよ)の位列と基本情報|刀工データベース

一平安代(いちひらやすよ)は、業物位列で「大業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・最上作」に位置づけられている刀工です。

一平安代とは

一平安代(いちのひらやすよ)は、江戸時代中期に薩摩国(現在の鹿児島県)で活躍した刀工です。新刀期の薩摩を代表する名工で、「主馬首一平安代(しゅめのかみ いちのひらやすよ)」と銘を切った作がよく知られています。八代将軍徳川吉宗から腕前を認められたことでも有名です。

系譜と経歴

安代は延宝8年(1680年)ごろから享保13年(1728年)ごろの人とされます。享保6年(1721年)、吉宗の命で江戸の浜御殿において刀を鍛え、その出来の良さから茎(なかご)に一葉葵の紋を入れることを許されました。その後、京都で「主馬首」を受領し、享保9年にも再び献上刀を制作したと伝えられています。

同じころ、同じく薩摩の主水正正清(宮原正清)も浜御殿で作刀しており、二人は将軍家の信頼を得た薩摩の名工として並び称されます。

作風の特徴

薩摩の刀らしい力強さに、華やかさを備えた作風と評されます。

見どころ 特徴
地鉄 よく鍛えられた板目肌
刃文 広直刃(ひろすぐは)など。沸がよくつき、華やかで上品な印象
茎・銘 「主馬首一平安代」など。将軍家から許された一葉葵紋を切る作がある

刃文の基本は刃文の種類、薩摩刀が属する伝法の考え方は五箇伝で紹介しています。

代表作

  • 刀 銘 主馬首一平安代:鹿児島県指定有形文化財(昭和31年指定)。鹿児島県歴史・美術センター黎明館所蔵

なお、かつて国の重要文化財に指定された安代の刀が第二次世界大戦後に接収され、所在不明になっているとされています。

鑑賞・購入のポイント

安代は切れ味の評価でも「大業物」に数えられる人気工で、葵紋入りの作は特に珍重されます。そのぶん偽銘の可能性も考えておく必要があり、購入時は日本美術刀剣保存協会の鑑定書の有無を確かめるのが安心です。

基本情報

刀工名 一平安代
読み いちひらやすよ
時代 新刀
国 薩摩
代 —

位列

位列 位 備考
業物位列 大業物 主馬首一平安代。
刀剣要覧の位列 新刀・上々作 第22版
刀工辞典の位列 新刀・最上作 —

位列から見る刀剣界での立ち位置

  • 業物位列:「大業物」——この位列に掲載された172工のうちの一人で、4段階中、上から2番目の位です。江戸時代の試し斬りの結果をもとにした、切れ味の格付けです。刀の美しさや出来を評価したものではありません。(一覧を見る)
  • 刀剣要覧の位列:「新刀・上々作」——新刀の部に掲載された541工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
  • 刀工辞典の位列:「新刀・最上作」——新刀の部に掲載された478工のうちの一人で、5段階中、上から1番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)

位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。

生きた時代と歴史的背景

新刀(慶長年間〜江戸中期)

新刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)から江戸時代中期ごろまでに作られた日本刀を指します。戦乱が収まって城下町が整えられ、刀工が各地の城下に集まって作刀するようになり、華やかな刃文の作も多く生まれました。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。

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同じ時代・同じ国(新刀・薩摩)の刀工

薩摩国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。

まとめ

一平安代は、業物位列で「大業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・最上作」と位置づけられている新刀の刀工です。薩摩国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。

出典

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