近江守助直(おうみのかみすけなお)の位列と基本情報|刀工データベース

近江守助直(おうみのかみすけなお)は、業物位列で「良業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・上々作」に位置づけられている刀工です。

近江守助直とは

近江守助直(おうみのかみすけなお)は、江戸時代前期に大坂と近江で作刀した刀工です。大坂新刀の名工津田越前守助広に学び、助広の没後は津田一門の後継者となりました。助広が得意とした「濤瀾乱(とうらんみだれ)」の刃文を受け継いだ刀工として知られます。

系譜と経歴

刀剣ワールドによると、寛永16年(1639年)に近江国(現在の滋賀県)で生まれ、大坂に出て二代助広(津田越前守助広)に作刀を学びました。延宝3年(1675年)ごろに助広の娘婿となり、「津田」の姓を名乗るようになったとされます。なお、Wikipediaの助広の項では助直を助広の「妹婿」と記しており、続柄の表現は資料によって異なります。

いったんは故郷の近江に戻って作刀していましたが、天和2年(1682年)に助広が没すると再び大坂へ移り、津田一門を継いで一門の繁栄を支えました。元禄6年(1693年)以降の作例が見当たらないことから、それから遠くない時期に没したと推定されています。

作風の特徴

項目 特徴
刃文 師の助広譲りの互の目乱れや濤瀾乱
姿 身幅がやや狭く、先反りごころがつく
助広との違い 助広の濤瀾乱に見られる「玉焼」がほとんど見られない

濤瀾乱は、大きくうねる波のような刃文で、師の助広が完成させた大坂新刀を代表する刃文です。

鑑賞・購入のポイント

助広と作風が近いため、両者の見分けでは、身幅や反りの具合、濤瀾乱の中に玉焼があるかどうかが手がかりになります。

基本情報

刀工名 近江守助直
読み おうみのかみすけなお
時代 新刀
国 摂津
代 —

位列

位列 位 備考
業物位列 良業物 津田助直。
刀剣要覧の位列 新刀・上々作 第22版
刀工辞典の位列 新刀・上々作 —

位列から見る刀剣界での立ち位置

  • 業物位列:「良業物」——この位列に掲載された172工のうちの一人で、4段階中、上から3番目の位です。江戸時代の試し斬りの結果をもとにした、切れ味の格付けです。刀の美しさや出来を評価したものではありません。(一覧を見る)
  • 刀剣要覧の位列:「新刀・上々作」——新刀の部に掲載された541工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
  • 刀工辞典の位列:「新刀・上々作」——新刀の部に掲載された478工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)

位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。

生きた時代と歴史的背景

新刀(慶長年間〜江戸中期)

新刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)から江戸時代中期ごろまでに作られた日本刀を指します。戦乱が収まって城下町が整えられ、刀工が各地の城下に集まって作刀するようになり、華やかな刃文の作も多く生まれました。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。

摂津の新刀の作風の傾向

秀吉の大坂城築城以後、商業都市として栄えた大坂(摂津)に各地から刀工が集まり、「大坂新刀」と呼ばれる一群が形成された。町人など富裕層の需要を背景に、実用一辺倒でなく装飾性・技巧性の高い作風が発展したとされる。

以下は産地全体の一般的な傾向で、個々の刀工によって異なります。

見どころ 傾向
姿(すがた) 新刀全般の傾向として身幅が広く反りが浅い姿とされ、大坂新刀では実用より装飾性が重んじられたと解説される。
地鉄(じがね) 鋼の産地(備前・播磨・出雲)に近い立地もあり、精緻によく詰んだ地鉄の美しさが際立つとされる。冴えた沸が付く「大坂沸」も特徴に挙げられる。
刃文(はもん) 華やかで技巧的な刃文が好まれ、津田助広が創始した濤瀾乱刃のほか、拳形丁子、簾刃などが見られる。焼き出しが細く始まり次第に幅を増す「大坂焼き出し」と、小丸の帽子も特徴とされる。

摂津の刀工が皆この作風というわけではなく、堀川系・相州伝・美濃伝など出自の違いによる個人差が大きい。江戸新刀が武骨とされるのとの対比で語られることが多い点にも注意。

関連する刀工・ページ

同じ時代・同じ国(新刀・摂津)の刀工

摂津国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。

まとめ

近江守助直は、業物位列で「良業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・上々作」と位置づけられている新刀の刀工です。摂津国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。

出典

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