青江右衛門尉吉次(あおえうえもんのじょうよしつぐ)は、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」に位置づけられている刀工です。
青江右衛門尉吉次とは
青江右衛門尉吉次(あおえうえもんのじょうよしつぐ)は、鎌倉時代末期から南北朝時代初期にかけて備中国青江で作刀した青江派の刀工で、「中青江」を代表する一人です。「右衛門尉」は吉次が名乗った官途名です。
銘と活動時期
Wikipediaの青江派の項によると、吉次の銘には「備中国住人吉次」や「備州万寿住右衛門尉吉次作」などがあります。中青江の刀工には年紀入りの作が見られるのが特徴で、吉次にも元徳2年(1330年)の年紀を持つ太刀が伝わっています。
作風の特徴
東京国立博物館所蔵の重要文化財の太刀に見る吉次の作風は、次のとおりです。
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 地鉄 | 板目肌が細かく肌立ち、青江派独特の「縮緬肌」を示す |
| 映り | 全体に立ち、一部に段映りが見られる |
| 刃文 | 小丁子刃で、匂口は締まりごころ |
縮緬肌や段映りは青江物を見分けるうえでの大切な手がかりです。
代表作
- 重要文化財 太刀 銘備中国青江住右衛門尉平吉次作 元徳弐年五月日(東京国立博物館)…刃長77.3cm、反り2.1cm。明治時代に毛利家から明治天皇へ献上されたと伝わります。
- このほか、鷲宮神社や田島神社にも吉次の太刀が所蔵され、それぞれ大正期に文化財指定を受けています(Wikipediaによる)。
鑑賞・購入のポイント
- 「吉次」の名は青江派以外にも多くの刀工が用いているため、「備中国」「青江」「右衛門尉」などの銘文を確認することが大切です。
- 縮緬肌・段映りといった青江の特徴が出ているかどうかも鑑賞の見どころです。
基本情報
| 刀工名 | 青江右衛門尉吉次 |
|---|---|
| 読み | あおえうえもんのじょうよしつぐ |
| 時代 | 古刀 |
| 国 | — |
| 代 | — |
| 流派 | 青江派 |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 刀工辞典の位列 | 古刀・上々作 | 刀工辞典の時代区分:中古刀(元応-長禄) |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 刀工辞典の位列:「古刀・上々作」——古刀の部に掲載された615工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
古刀(〜慶長年間)
古刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)より前に作られた日本刀を指します。平安時代後期から安土桃山時代にあたり、武士の世の中で日本刀が実戦の武器として発達し、大和・山城・備前・相州・美濃の五箇伝の作風が生まれた時代です。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
青江派の作風と鑑定のポイント
以下は青江派全体の一般的な傾向です。個々の刀工・代によって異なり、例外も多くあります。流派の詳しい解説は青江派とはをご覧ください。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 古青江は細身で腰反りの優美な太刀姿。南北朝期には身幅が広く、反りが浅めで切先の延びた大柄な姿も |
| 地鉄(じがね) | 小板目がよく詰み、ちりめん状に肌立つ「縮緬肌(ちりめんはだ)」。青く澄んだ地に黒い斑点が交じる「澄肌(すみはだ)」が見られる |
| 刃文(はもん) | 古青江は直刃調に小乱れ・小丁子が交じる。刃中に逆がかった働きが見られるものも。末青江には逆丁子(さかちょうじ)の華やかな作もある |
| 帽子(ぼうし) | 中青江には、横手の上で小丸または大丸風になり、先がわずかに尖って浅く返る「青江帽子」が見られるとされる |
| 茎・銘(なかご・めい) | 古青江は二字銘が中心。中青江以降は「備中国住◯◯」のような国名入りや年紀入りの銘も見られる |
備前伝(五箇伝)の傾向
備前伝は五箇伝の一つです。傾向の詳細は備前伝とはで解説しています。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 区(まち)の近く、刀身の手元寄りから反る「腰反り(こしぞり)」が多い |
| 地鉄(じがね) | 板目肌に杢目(もくめ)が交じる。地に白い影のような「映り」、とくに「乱れ映り」が立つものが多い |
| 刃文(はもん) | 丁子の実を並べたような華やかな丁子乱れが代表的。匂(におい)を主体とした刃文が多い |
| 帽子(ぼうし) | 長船派の長光・景光・真長には、横手の上で乱れて小丸に返る「三作帽子(さんさくぼうし)」が見られるとされる |
関連する刀工・ページ
同じ流派の刀工
まとめ
青江右衛門尉吉次は、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」と位置づけられている古刀の刀工です。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。