元平(初代)(薩陽士)の位列と基本情報|刀工データベース

元平(初代)(薩陽士)(もとひら)は、刀剣要覧の位列で「新々刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新々刀・最上作」に位置づけられている刀工です。

大和守元平とは

大和守元平(やまとのかみもとひら)は、江戸時代後期に薩摩国(現在の鹿児島県)で活躍した刀工です。新々刀期の薩摩を代表する名工で、同じ薩摩の伯耆守正幸と並び称されます。力強い相州伝の作風を得意とし、「奥元平」とも呼ばれます。

系譜と経歴

元平は延享元年(1744年)、鹿児島城下の刀工・奥元直の子として生まれました。弟の元武・元安も刀工で、兄弟3人で合作した刀も残されています。

若いころは「薩陽士元平」「薩摩臣奥元平」などと銘を切り、寛政元年(1789年)に大和守を受領してからは「奥大和守平朝臣元平」と銘する作が多くなります。文政2年(1819年)の年紀に「七十六歳造之」と添えた脇差も知られ、晩年まで作刀を続けたことがわかります。同名の二代については大和守元平(二代)、同時代の薩摩の名工は伯耆守正幸をご覧ください。

作風の特徴

身幅が広く、堂々とした姿の刀が多いのが特徴です。刃文には相州伝らしい沸の働きが豊かに見られます。

見どころ 特徴
姿 身幅が広く、堂々とした豪壮な姿
刃文 互の目乱れを得意とし、小湾れや尖り刃を交える。直刃調の作は少ない
沸・働き 匂が深く、よく沸づき、金筋・砂流しがかかる
銘 初期は「薩陽士元平」など、受領後は「奥大和守平朝臣元平」が多い

金筋や砂流しといった刃中の働きについては、刃文の種類もあわせて読むと理解が深まります。

代表作

  • 刀 銘 奥大和守平朝臣元平:鹿児島県指定有形文化財。鹿児島県歴史・美術センター黎明館所蔵。元平には珍しい直刃調の作とされます

鑑賞・購入のポイント

元平は受領の前後で銘が変わるため、銘の書き方は制作時期を考えるヒントになります。二代元平の作もあるため、代の区別は年紀や銘振りで確認しましょう。人気の高い薩摩新々刀だけに、購入時は日本美術刀剣保存協会の鑑定書の有無を確かめると安心です。

基本情報

刀工名 元平(初代)(薩陽士)
読み もとひら
時代 新々刀
国 —
代 初代

位列

位列 位 備考
刀剣要覧の位列 新々刀・上々作 第22版/名寄せ:旧slug motohira-shinshinto-1
刀工辞典の位列 新々刀・最上作 —

位列から見る刀剣界での立ち位置

  • 刀剣要覧の位列:「新々刀・上々作」——新々刀の部に掲載された237工のうちの一人で、4段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
  • 刀工辞典の位列:「新々刀・最上作」——新々刀の部に掲載された224工のうちの一人で、5段階中、上から1番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)

位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。

生きた時代と歴史的背景

新々刀(江戸後期〜明治初期)

新々刀とは、江戸時代後期(1770年代ごろ)から明治9年(1876年)の廃刀令のころまでに作られた日本刀を指します。水心子正秀らが古刀の作風への復古を唱えたことで知られます。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。

まとめ

元平(初代)(薩陽士)は、刀剣要覧の位列で「新々刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新々刀・最上作」と位置づけられている新々刀の刀工です。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。

出典

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