和暦・西暦 対照表|日本刀の年紀を読むための元号一覧

和暦・西暦対照表
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茎の「応永〇年八月日」…これは西暦何年?

日本刀の茎(なかご)には、刀工の名前(銘)のほかに、作った年月を刻んだ「年紀(ねんき)」が入っていることがあります。ところが年紀は「応永」「寛文」のような元号(げんごう)で書かれ、数字も漢数字なので、西暦で何年ごろなのかすぐには分かりません。

この記事では、刀剣の年紀に出てくる平安時代中期から現在までの元号を、読み方と改元年(西暦)の一覧にまとめました。あわせて年紀の読み方、干支(えと)の見方、登録証の和暦表記との関係も解説します。

和暦と西暦の対応:まず結論

年紀の元号を西暦に直すには、「その元号の改元年(元年)の西暦+年数−1」で計算します。たとえば応永は1394年に始まるので、「応永二十年」はおおよそ1394+20−1=1413年です。

年紀の読み方(銘・登録証での使い方)

「〇〇年八月日」の意味

年紀は、銘と反対側の面に「元号+年+月+日」の形で刻まれるのが一般的です。よく見る「八月日」「二月日」のように、月のあとに日付の数字がなく「日」だけが入る書き方は、特定の日を示さない慣用的な表記です。「吉日(きちじつ)」と刻まれることもあります。銘の基本は銘とはをご覧ください。

干支(えと)が添えられる場合

年紀には「元亀二年辛未(かのとひつじ)」のように、干支が添えられることがあります。干支とは、十干(じっかん:甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)と十二支(じゅうにし:子・丑・寅…)を組み合わせた60通りの年の呼び名で、60年で一巡します。元号と干支の両方が書かれていれば、年の特定を確かめる手がかりになります。一方、元号がなく干支だけの場合は60年ごとに同じ呼び名になるため、作風や刀工の活動時期と合わせて判断する必要があります。なお、西暦1571年(元亀二年)はたしかに辛未の年です。

登録証の和暦表記との関係

銃砲刀剣類登録証(とうろくしょう)では、「登録年月日」や交付日が「昭和〇年」「平成〇年」「令和〇年」のように和暦で書かれています。これは刀が登録された日付であって、刀が作られた年ではありません。刀の制作年を示すのは、あくまで茎に刻まれた年紀(登録証の「銘文」欄に書き写されている場合があります)です。この2つを混同しないようにしましょう。登録証の見方は銃砲刀剣類登録証とはで解説しています。

時代区分とのつながり

年紀が読めると、その刀が古刀・新刀・新々刀・現代刀のどれにあたるかの目安になります。一般に慶長年間(1596年〜)以降の刀を新刀と呼ぶなど、元号は時代区分とも深く関係しています。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。

元号一覧(平安中期〜令和)

以下は延喜(901年)から令和までの元号です。「改元年」は、その元号が始まった年(元年)を西暦で示しています。読み方は、明治より前の元号は公式に定められていないものが多く、一般的な読みの例です。時代の区切りは目安で、特に平安・鎌倉の境などは諸説あります。南北朝時代は、南朝と北朝がそれぞれ別の元号を使ったため、表を分けています。

平安時代中期〜後期(延喜〜元暦)

元号 読み 改元年(西暦)
延喜 えんぎ 901年
延長 えんちょう 923年
承平 じょうへい 931年
天慶 てんぎょう 938年
天暦 てんりゃく 947年
天徳 てんとく 957年
応和 おうわ 961年
康保 こうほう 964年
安和 あんな 968年
天禄 てんろく 970年
天延 てんえん 974年
貞元 じょうげん 976年
天元 てんげん 978年
永観 えいかん 983年
寛和 かんな 985年
永延 えいえん 987年
永祚 えいそ 989年
正暦 しょうりゃく 990年
長徳 ちょうとく 995年
長保 ちょうほう 999年
寛弘 かんこう 1004年
長和 ちょうわ 1013年
寛仁 かんにん 1017年
治安 じあん 1021年
万寿 まんじゅ 1024年
長元 ちょうげん 1028年
長暦 ちょうりゃく 1037年
長久 ちょうきゅう 1040年
寛徳 かんとく 1044年
永承 えいしょう 1046年
天喜 てんぎ 1053年
康平 こうへい 1058年
治暦 じりゃく 1065年
延久 えんきゅう 1069年
承保 じょうほう 1074年
承暦 じょうりゃく 1077年
永保 えいほう 1081年
応徳 おうとく 1084年
寛治 かんじ 1087年
嘉保 かほう 1095年
永長 えいちょう 1097年
承徳 じょうとく 1097年
康和 こうわ 1099年
長治 ちょうじ 1104年
嘉承 かしょう 1106年
天仁 てんにん 1108年
天永 てんえい 1110年
永久 えいきゅう 1113年
元永 げんえい 1118年
保安 ほうあん 1120年
天治 てんじ 1124年
大治 だいじ 1126年
天承 てんしょう 1131年
長承 ちょうしょう 1132年
保延 ほうえん 1135年
永治 えいじ 1141年
康治 こうじ 1142年
天養 てんよう 1144年
久安 きゅうあん 1145年
仁平 にんぺい 1151年
久寿 きゅうじゅ 1154年
保元 ほうげん 1156年
平治 へいじ 1159年
永暦 えいりゃく 1160年
応保 おうほう 1161年
長寛 ちょうかん 1163年
永万 えいまん 1165年
仁安 にんあん 1166年
嘉応 かおう 1169年
承安 じょうあん 1171年
安元 あんげん 1175年
治承 じしょう 1177年
養和 ようわ 1181年
寿永 じゅえい 1182年
元暦 げんりゃく 1184年

鎌倉時代(文治〜元弘・正慶)

元号 読み 改元年(西暦)
文治 ぶんじ 1185年
建久 けんきゅう 1190年
正治 しょうじ 1199年
建仁 けんにん 1201年
元久 げんきゅう 1204年
建永 けんえい 1206年
承元 じょうげん 1207年
建暦 けんりゃく 1211年
建保 けんぽう 1214年
承久 じょうきゅう 1219年
貞応 じょうおう 1222年
元仁 げんにん 1224年
嘉禄 かろく 1225年
安貞 あんてい 1228年
寛喜 かんぎ 1229年
貞永 じょうえい 1232年
天福 てんぷく 1233年
文暦 ぶんりゃく 1234年
嘉禎 かてい 1235年
暦仁 りゃくにん 1238年
延応 えんおう 1239年
仁治 にんじ 1240年
寛元 かんげん 1243年
宝治 ほうじ 1247年
建長 けんちょう 1249年
康元 こうげん 1256年
正嘉 しょうか 1257年
正元 しょうげん 1259年
文応 ぶんおう 1260年
弘長 こうちょう 1261年
文永 ぶんえい 1264年
建治 けんじ 1275年
弘安 こうあん 1278年
正応 しょうおう 1288年
永仁 えいにん 1293年
正安 しょうあん 1299年
乾元 けんげん 1302年
嘉元 かげん 1303年
徳治 とくじ 1307年
延慶 えんきょう 1308年
応長 おうちょう 1311年
正和 しょうわ 1312年
文保 ぶんぽう 1317年
元応 げんおう 1319年
元亨 げんこう 1321年
正中 しょうちゅう 1324年
嘉暦 かりゃく 1326年
元徳 げんとく 1329年
元弘(後醍醐天皇方。のち南朝側が使用) げんこう 1331年
正慶(光厳天皇方=のちの北朝側) しょうけい 1332年

建武(南北朝共通の始まり)

元号 読み 改元年(西暦)
建武 けんむ 1334年

南北朝時代・南朝(吉野朝廷)の元号

元号 読み 改元年(西暦)
延元 えんげん 1336年
興国 こうこく 1340年
正平 しょうへい 1347年
建徳 けんとく 1370年
文中 ぶんちゅう 1372年
天授 てんじゅ 1375年
弘和 こうわ 1381年
元中 げんちゅう 1384年

南北朝時代・北朝の元号

元号 読み 改元年(西暦)
暦応 りゃくおう 1338年
康永 こうえい 1342年
貞和 じょうわ 1345年
観応 かんのう 1350年
文和 ぶんな 1352年
延文 えんぶん 1356年
康安 こうあん 1361年
貞治 じょうじ 1362年
応安 おうあん 1368年
永和 えいわ 1375年
康暦 こうりゃく 1379年
永徳 えいとく 1381年
至徳 しとく 1384年
嘉慶 かけい 1387年
康応 こうおう 1389年
明徳 めいとく 1390年

室町時代〜戦国時代(応永〜元亀)

元号 読み 改元年(西暦)
応永 おうえい 1394年
正長 しょうちょう 1428年
永享 えいきょう 1429年
嘉吉 かきつ 1441年
文安 ぶんあん 1444年
宝徳 ほうとく 1449年
享徳 きょうとく 1452年
康正 こうしょう 1455年
長禄 ちょうろく 1457年
寛正 かんしょう 1461年
文正 ぶんしょう 1466年
応仁 おうにん 1467年
文明 ぶんめい 1469年
長享 ちょうきょう 1487年
延徳 えんとく 1489年
明応 めいおう 1492年
文亀 ぶんき 1501年
永正 えいしょう 1504年
大永 たいえい 1521年
享禄 きょうろく 1528年
天文 てんぶん 1532年
弘治 こうじ 1555年
永禄 えいろく 1558年
元亀 げんき 1570年

安土桃山時代(天正〜文禄)

元号 読み 改元年(西暦)
天正 てんしょう 1573年
文禄 ぶんろく 1593年

江戸時代(慶長〜慶応)

元号 読み 改元年(西暦)
慶長 けいちょう 1596年
元和 げんな 1615年
寛永 かんえい 1624年
正保 しょうほう 1645年
慶安 けいあん 1648年
承応 じょうおう 1652年
明暦 めいれき 1655年
万治 まんじ 1658年
寛文 かんぶん 1661年
延宝 えんぽう 1673年
天和 てんな 1681年
貞享 じょうきょう 1684年
元禄 げんろく 1688年
宝永 ほうえい 1704年
正徳 しょうとく 1711年
享保 きょうほう 1716年
元文 げんぶん 1736年
寛保 かんぽう 1741年
延享 えんきょう 1744年
寛延 かんえん 1748年
宝暦 ほうれき 1751年
明和 めいわ 1764年
安永 あんえい 1772年
天明 てんめい 1781年
寛政 かんせい 1789年
享和 きょうわ 1801年
文化 ぶんか 1804年
文政 ぶんせい 1818年
天保 てんぽう 1831年
弘化 こうか 1845年
嘉永 かえい 1848年
安政 あんせい 1855年
万延 まんえん 1860年
文久 ぶんきゅう 1861年
元治 げんじ 1864年
慶応 けいおう 1865年

近代〜現代(明治〜令和)

元号 読み 改元年(西暦)
明治 めいじ 1868年
大正 たいしょう 1912年
昭和 しょうわ 1926年
平成 へいせい 1989年
令和 れいわ 2019年

知っておくべき注意点

改元年は前後の元号が重なる

改元は年の途中で行われることがほとんどです。たとえば1394年は、改元前は明徳五年、改元後は応永元年と呼ばれます。そのため、改元年の西暦は前の元号の最終年と同じ年になります。表の「改元年」は新しい元号の元年にあたる西暦です。

旧暦と西暦は年末年始でずれることがある

明治5年までは旧暦(太陰太陽暦)が使われていたため、旧暦の年末(十一月・十二月など)の日付は、西暦に直すと翌年の1月〜2月にあたることがあります。本記事の計算方法で出る西暦は「おおよその年」と考えてください。刀の年紀は「八月日」のように日付を特定しないものが多いため、鑑賞のうえでは年単位の目安で十分なことがほとんどです。

南北朝時代は北朝・南朝どちらの元号かを確認

1336年から1392年まで、朝廷が北朝と南朝に分かれ、それぞれ別の元号を使いました。刀工がどちらの元号を使うかは、その地域や仕えた勢力によって異なります。年紀の元号が北朝のものか南朝のものかで西暦の対応も変わるため、上の表で確認しましょう。なお、南北朝の合一は元中九年・明徳三年(1392年)で、以後は北朝の元号である明徳が引き継がれました。

年紀があっても正しいとは限らない

年紀は刀の時代を知る有力な手がかりですが、後から刻まれたものや、銘そのものが偽物(偽銘)の場合もあります。作風や姿と年紀が合っているかを意識すると、鑑賞がより確かなものになります。姿・作風の基本は五箇伝とはや各伝の記事が参考になります。

まとめ

年紀の元号は、「改元年+年数−1」でおおよその西暦に直せます。「八月日」のような慣用表記、干支、南北朝の二つの元号、登録証の登録年月日との違いを押さえておけば、茎の年紀を読むのがぐっと楽しくなります。お手元の刀に年紀があれば、この表でぜひ確かめてみてください。

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