中青江次直(ちゅうあおえつぐなお)は、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」に位置づけられている刀工です。
中青江次直とは
次直(つぐなお)は、南北朝時代に備中国(現在の岡山県西部)で作刀した青江派の刀工です。逆丁子(さかちょうじ)と呼ばれる、斜めに傾いた丁子乱れの刃文を得意としたことで知られます。
青江派は時代によって古青江・中青江・末青江に分けられますが、その区切り方は資料によって異なります。刀工辞典では次直を「中青江」としていますが、Wikipediaの青江派の項では延文年間(1356〜1361年)を中心とする「末青江」の刀工として挙げられています。
年紀と活動時期
次直には年紀のある作が多く、延文3年(1358年)の作が複数知られています。刀箱師・中村圭佑氏の解説では、文和4年(1355年)や延文4年(1359年)の年紀を持つ指定品もあるとされ、延文3年前後を次直の傑作期とみる見方が紹介されています。
作風の特徴
- 刃文:匂口の締まった逆丁子が代表的。刃中の乱れが複雑に交じっても、帽子はきれいにまとまる
- 映り:逆丁子に沿うように斜めに立つ乱れ映りが見られる
逆丁子と映りは青江派全体の見どころで、次直はその魅力を最もよく示す刀工の一人といえます。
代表作
- 重要文化財 短刀 銘備中国住次直作 延文三年十一月日(東京国立博物館)…刃長26.8cm。小振りながら華やかな逆丁子刃を焼いた一口です。仙台藩伊達家に伝わり、寛永7年(1630年)に徳川秀忠から伊達家に下賜されたと伝えられます。
鑑賞・購入のポイント
- 銘は「備中国住次直作」の形式に年紀を添えるものが見られます。年紀の有無と内容は評価の大きな手がかりです。
- 同じ青江派の次吉などと見比べると、逆丁子の個性の違いがわかります。
基本情報
| 刀工名 | 中青江次直 |
|---|---|
| 読み | ちゅうあおえつぐなお |
| 時代 | 古刀 |
| 国 | — |
| 代 | — |
| 流派 | 青江派 |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 刀工辞典の位列 | 古刀・上々作 | 刀工辞典の時代区分:中古刀(元応-長禄) |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 刀工辞典の位列:「古刀・上々作」——古刀の部に掲載された615工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
古刀(〜慶長年間)
古刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)より前に作られた日本刀を指します。平安時代後期から安土桃山時代にあたり、武士の世の中で日本刀が実戦の武器として発達し、大和・山城・備前・相州・美濃の五箇伝の作風が生まれた時代です。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
青江派の作風と鑑定のポイント
以下は青江派全体の一般的な傾向です。個々の刀工・代によって異なり、例外も多くあります。流派の詳しい解説は青江派とはをご覧ください。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 古青江は細身で腰反りの優美な太刀姿。南北朝期には身幅が広く、反りが浅めで切先の延びた大柄な姿も |
| 地鉄(じがね) | 小板目がよく詰み、ちりめん状に肌立つ「縮緬肌(ちりめんはだ)」。青く澄んだ地に黒い斑点が交じる「澄肌(すみはだ)」が見られる |
| 刃文(はもん) | 古青江は直刃調に小乱れ・小丁子が交じる。刃中に逆がかった働きが見られるものも。末青江には逆丁子(さかちょうじ)の華やかな作もある |
| 帽子(ぼうし) | 中青江には、横手の上で小丸または大丸風になり、先がわずかに尖って浅く返る「青江帽子」が見られるとされる |
| 茎・銘(なかご・めい) | 古青江は二字銘が中心。中青江以降は「備中国住◯◯」のような国名入りや年紀入りの銘も見られる |
備前伝(五箇伝)の傾向
備前伝は五箇伝の一つです。傾向の詳細は備前伝とはで解説しています。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 区(まち)の近く、刀身の手元寄りから反る「腰反り(こしぞり)」が多い |
| 地鉄(じがね) | 板目肌に杢目(もくめ)が交じる。地に白い影のような「映り」、とくに「乱れ映り」が立つものが多い |
| 刃文(はもん) | 丁子の実を並べたような華やかな丁子乱れが代表的。匂(におい)を主体とした刃文が多い |
| 帽子(ぼうし) | 長船派の長光・景光・真長には、横手の上で乱れて小丸に返る「三作帽子(さんさくぼうし)」が見られるとされる |
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まとめ
中青江次直は、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」と位置づけられている古刀の刀工です。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。