近江大掾忠広(おうみのだいじょうただひろ)の位列と基本情報|刀工データベース

近江大掾忠広(おうみのだいじょうただひろ)は、業物位列で「大業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・上々作」に位置づけられている刀工です。

近江大掾忠広とは

近江大掾忠広(おうみのだいじょうただひろ)は、江戸時代前期に肥前国佐賀(現在の佐賀県)で活躍した刀工です。肥前刀の祖肥前忠吉(初代)の子で、肥前忠吉家の二代目にあたります。長寿で60年以上作刀を続けたため、新刀の刀工のなかでも現存作が極めて多いことで知られます。

系譜と経歴

慶長19年(1614年)に生まれ、通称は橋本平作郎、のちに新左衛門と称しました。父の没後、忠広の名を継ぎました。肥前忠吉家では代々「忠吉」の名を継ぐのが習わしでしたが、忠広は生涯「忠吉」を名乗りませんでした。Wikipediaは、その理由を側室の子であったためとしています。

寛永18年(1641年)7月に近江大掾を受領し、以後は「肥前国住近江大掾藤原忠広」の銘を定めて切るようになりました。元禄6年(1693年)5月27日に没しています。子には長男の陸奥守忠吉(三代)、鉄砲鍛冶となった次男の新兵衛、三男の初代忠行がいます。二代から九代までの墓は佐賀の長寛寺にあると伝えられます。

作風の特徴

項目 特徴
地鉄 よく詰んだ地鉄
刃文 直刃が主体。互の目乱れの作もある

腕前は、肥前刀工のなかで父の初代忠吉、子の陸奥守忠吉に次ぐものと評されます。九州国立博物館が所蔵する「刀 銘 肥前国住近江大掾藤原忠広」(刃長74.4cm)は、直刃に小乱れがまじり、冴えた出来と解説されています。

鑑賞・購入のポイント

現存作が多いため、市場でも比較的目にしやすい肥前刀です。受領後の作は「近江大掾藤原忠広」の銘でそろっているので、受領前後の銘の違いにも注目できます。銘は子の陸奥守忠吉以降の代と取り違えないよう、鑑定書で確認すると安心です。

基本情報

刀工名 近江大掾忠広
読み おうみのだいじょうただひろ
時代 新刀
国 肥前
代 二代

位列

位列 位 備考
業物位列 大業物 代はつるぎの屋による。
刀剣要覧の位列 新刀・上々作 第22版
刀工辞典の位列 新刀・上々作 —

位列から見る刀剣界での立ち位置

  • 業物位列:「大業物」——この位列に掲載された172工のうちの一人で、4段階中、上から2番目の位です。江戸時代の試し斬りの結果をもとにした、切れ味の格付けです。刀の美しさや出来を評価したものではありません。(一覧を見る)
  • 刀剣要覧の位列:「新刀・上々作」——新刀の部に掲載された541工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
  • 刀工辞典の位列:「新刀・上々作」——新刀の部に掲載された478工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)

位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。

生きた時代と歴史的背景

新刀(慶長年間〜江戸中期)

新刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)から江戸時代中期ごろまでに作られた日本刀を指します。戦乱が収まって城下町が整えられ、刀工が各地の城下に集まって作刀するようになり、華やかな刃文の作も多く生まれました。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。

肥前の新刀の作風の傾向

古刀期には著名刀工が少なかった肥前(佐賀)で、江戸初期に佐賀藩が刀剣を藩の産業と位置づけ、初代忠吉(橋本新左衛門)を御用刀工として取り立てたことで発展した。忠吉一派は100人以上の刀工を輩出したとされ、作風も藩によって統制されたと解説される。

以下は産地全体の一般的な傾向で、個々の刀工によって異なります。

見どころ 傾向
姿(すがた) 初代忠吉は重ねが厚く豪壮な姿とされる(刀剣ワールドの解説)。
地鉄(じがね) 「小糠肌」と呼ばれる緻密によく詰んだ地鉄が特徴。この呼称は肥前刀に特有で、粟田口などで言う梨子地肌とは区別されるとされる。
刃文(はもん) 直刃調が主流とされる。

藩の統制により作風が揃いやすい反面、代や個工による違いもあるため、直刃・小糠肌はあくまで一般的傾向。

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同じ時代・同じ国(新刀・肥前)の刀工

肥前国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。

まとめ

近江大掾忠広は、業物位列で「大業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上々作」、刀工辞典の位列で「新刀・上々作」と位置づけられている新刀の刀工です。肥前国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。

出典

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