近江守久道(おうみのかみひさみち)は、業物位列で「良業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上作」に位置づけられている刀工です。
近江守久道(初代)とは
近江守久道は、江戸時代前期の山城国(京)で活躍した新刀期の刀工です。来金道(らいきんみち)の門人として京で腕を磨き、近江大掾、のち近江守を受領しました。
系譜と経歴
寛永3年(1626年)、近江国野洲郡野村に生まれ、堀勘左衛門の弟とされます。京に上り、来金道家の二代である越後守来金道に学びました。三品(みしな)姓を許されて「久道」と銘しています。寛文5年から元禄末年ごろまでの作が見られ、元禄になると嫡子の久次(二代久道)との合作も見られます。正徳元年(1711年)、85歳で没したと伝わります。
作風の特徴
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 刃文 | 師の金道に似るが、互の目の肩が角張る、矢筈がかる、互の目の間隔が離れ谷が短い直刃になる部分がある |
| その他 | のたれ調に砂流しが交じる濤乱風で飛焼を見せるものもある。沸は深く、匂口は明るい |
鑑賞・購入のポイント
師の金道と刃文が似るため、互の目の形や間隔、初代と二代の合作期の作に注意して見るとよいでしょう。
基本情報
| 刀工名 | 近江守久道 |
|---|---|
| 読み | おうみのかみひさみち |
| 時代 | 新刀 |
| 国 | 山城 |
| 代 | 初代 |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 業物位列 | 良業物 | — |
| 刀剣要覧の位列 | 新刀・上作 | 第22版 |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 業物位列:「良業物」——この位列に掲載された172工のうちの一人で、4段階中、上から3番目の位です。江戸時代の試し斬りの結果をもとにした、切れ味の格付けです。刀の美しさや出来を評価したものではありません。(一覧を見る)
- 刀剣要覧の位列:「新刀・上作」——新刀の部に掲載された541工のうちの一人で、5段階中、上から3番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
新刀(慶長年間〜江戸中期)
新刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)から江戸時代中期ごろまでに作られた日本刀を指します。戦乱が収まって城下町が整えられ、刀工が各地の城下に集まって作刀するようになり、華やかな刃文の作も多く生まれました。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
山城の新刀の作風の傾向
埋忠明寿は金工出身で新刀鍛冶の祖と仰がれ、堀川国広は新刀初期の大勢力である堀川派の祖とされる。いずれも山城(京都)を拠点に新刀初期を牽引した。
以下は産地全体の一般的な傾向で、個々の刀工によって異なります。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 堀川国広の姿は身幅広く反りが深めで、切先の伸びる豪壮なものとされる。 |
| 地鉄(じがね) | 堀川国広の地鉄は小板目肌がよく詰むものから、板目肌が立ち心でザングリとした肌合いのもの(「堀川打ち」)まで幅があるとされる。 |
| 刃文(はもん) | 埋忠明寿は直刃や湾れ刃を焼くとされ、堀川国広は初期(天正打)に末古刀風の互の目乱れが多く、京都定住後は相州伝を意識した湾れや互の目乱れも焼いたとされる。 |
埋忠派と堀川派では作風が異なり、堀川門人は後に大坂・江戸などへ広がって各地の新刀の源流となったため、一括りにはできない。国広自身も時期により作風が変わる。
関連する刀工・ページ
同じ時代・同じ国(新刀・山城)の刀工
山城国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。
まとめ
近江守久道は、業物位列で「良業物」、刀剣要覧の位列で「新刀・上作」と位置づけられている新刀の刀工です。山城国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。
出典
- https://ja.wikipedia.org/wiki/刀剣の業物一覧
- http://www.tsuruginoya.com/mn1_6/mn6_5_4.html
- https://www.meihaku.jp/sword-basic/yokiwazamono-58/
- https://katananokura.jp/hpgen/HPB/entries/50.html
- https://k.n-owner.jp/刀を知る/新刀列位
- https://ja.wikipedia.org/wiki/近江守久道
- https://ja.wikipedia.org/wiki/埋忠明寿
- https://ja.wikipedia.org/wiki/堀川国広