秋広(あきひろ)は、刀剣要覧の位列で「古刀・上々作」に位置づけられている刀工です。
相州秋広とは
相州秋広(そうしゅうあきひろ)は、南北朝時代に相模国鎌倉(現在の神奈川県)で活躍した刀工です。正宗・貞宗と続く相州鍛冶の正統を受け継いだ一人で、同時代の広光と並ぶ南北朝期の相州伝の代表的な刀工とされます。
系譜と経歴
師については、正宗の門人説、貞宗の門人説、貞宗の弟子である広光の弟または門人とする説などがあり、はっきりしません。刀剣ワールドによると、室町時代の刀剣書『古刀銘尽』には、正和4年(1315年)に生まれて84歳で没したと記されています。
それまでの相州鍛冶と違い、秋広は年紀(制作年)を刻んだ作を多く残しました。確認されている年紀は延文2年(1357年)から明徳3年(1392年)までで、約35年にわたって活動したことがわかります。秋広の名は三代にわたって使われたとされ、三代目は鎌倉から上総国(現在の千葉県中部)に移ったと伝わります。
作風の特徴
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 姿 | 身幅の広い平造りの短刀・小脇差が多い。南北朝時代らしい大ぶりな姿 |
| 刃文 | 刀身全体に焼きが散らばる「皆焼(ひたつら)」。湯走りや飛焼が目立つ |
| 働き | はっきりした金筋や稲妻 |
| 銘 | 草書風の崩した書体 |
秋広と広光の世代から、相州伝の特色である皆焼が盛んになりました。刀剣ワールドは秋広を皆焼を始めた刀工として紹介しています。また、ほかの相州鍛冶と比べるとやや穏やかな作風とも評されます。
代表作
- 短刀 銘 相州住秋広/永和二 附 金梨地桐紋蒔絵鞘短刀拵(重要文化財、京都国立博物館所蔵):永和2年(1376年)の年紀がある短刀です。文化遺産オンラインによると、在銘の秋広の作で重要文化財に指定されているのはこの一口のみです。
鑑賞・購入のポイント
秋広は年紀入りの作が多いので、年紀から初代か後代かを考える手がかりが得られます。同銘が三代続いたとされるため、「秋広」銘の作がどの代にあたるかは鑑定書で確認しましょう。
基本情報
| 刀工名 | 秋広 |
|---|---|
| 読み | あきひろ |
| 時代 | 古刀 |
| 国 | 相模 |
| 代 | — |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 刀剣要覧の位列 | 古刀・上々作 | 第22版(古刀の部・三位)/名寄せ:旧slug sagami-akihiro |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 刀剣要覧の位列:「古刀・上々作」——古刀の部に掲載された181工のうちの一人で、5段階中、上から3番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
古刀(〜慶長年間)
古刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)より前に作られた日本刀を指します。平安時代後期から安土桃山時代にあたり、武士の世の中で日本刀が実戦の武器として発達し、大和・山城・備前・相州・美濃の五箇伝の作風が生まれた時代です。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
相州伝(五箇伝)の傾向
相州伝は五箇伝の一つです。傾向の詳細は相州伝とはで解説しています。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 身幅が広く、切先が延びる豪壮な姿が多い。刀身の中ほどで反る「中反り(なかぞり)」のものも見られる |
| 地鉄(じがね) | 板目肌(大板目が交じるものも)に地沸(じにえ)が厚く付き、地景(ちけい)などの働きが多い |
| 刃文(はもん) | 焼幅が広く、荒い沸が付いた、のたれや互の目(ぐのめ)主体の変化に富んだ乱れ刃。金筋(きんすじ)・稲妻(いなずま)などの働きが見られる |
| 帽子(ぼうし) | 沸の強い乱れ込みで、掃きかけ(はきかけ)るものなどが見られるとされる |
関連する刀工・ページ
同じ時代・同じ国(古刀・相模)の刀工
相模国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。
まとめ
秋広は、刀剣要覧の位列で「古刀・上々作」と位置づけられている古刀の刀工です。相模国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。