長重(ながしげ)は、刀剣要覧の位列で「古刀・上々作」、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」に位置づけられている刀工です。
長船長重とは
長船長重(おさふねながしげ)は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて備前国長船(現在の岡山県瀬戸内市)で作刀した長船派の刀工です。「正宗十哲」の一人に数えられる長義の兄とされ、建武元年(1334年)にあたる「甲戌」の年紀を刻んだ国宝の短刀の作者として知られます。
系譜と経歴
名刀幻想辞典によると、長重は建武ごろから作刀を始め、貞和5年(1349年)の年紀の作も残っています。弟の長義とともに、備前の伝統に相州伝の作風を取り入れた系統に属し、この系統の作風は「相伝備前」と呼ばれます。
作風の特徴
国宝の短刀は、内反りがわずかにつく姿で、地刃の働きがはじめは静かに、棟寄りに近づくにつれて激しくなる変化に富んだ出来です。文化遺産オンラインは、この短刀を相州伝の最高の技を示す傑作と評しています。弟の長義が大きな肌合いと鮮やかな沸の働きで知られるのに対し、この短刀は長義の傑作をもしのぐ出来だとする見方もあります(相州伝、備前伝)。
代表作
- 短刀 銘 備州長船住長重/甲戌(国宝、個人蔵):刃長26.0cm。1942年に重要文化財、1953年に国宝に指定されました。豊臣秀吉に仕えた刀剣鑑定家・本阿弥光徳の差料と伝わり、本阿弥家に伝来しました。江戸時代初期の附属品も伝わっています。
鑑賞・購入のポイント
長重の在銘作は数が少なく、国宝の短刀が代表的な基準作です。弟の長義の作とあわせて見ると、相伝備前の特色がよくわかります。
基本情報
| 刀工名 | 長重 |
|---|---|
| 読み | ながしげ |
| 時代 | 古刀 |
| 国 | 備前 |
| 代 | — |
位列
| 位列 | 位 | 備考 |
|---|---|---|
| 刀剣要覧の位列 | 古刀・上々作 | 第22版(古刀の部・三位)/名寄せ:旧slug bizen-nagashige |
| 刀工辞典の位列 | 古刀・上々作 | 刀工辞典の時代区分:中古刀(元応-長禄) |
位列から見る刀剣界での立ち位置
- 刀剣要覧の位列:「古刀・上々作」——古刀の部に掲載された181工のうちの一人で、5段階中、上から3番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
- 刀工辞典の位列:「古刀・上々作」——古刀の部に掲載された615工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)
位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。
生きた時代と歴史的背景
古刀(〜慶長年間)
古刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)より前に作られた日本刀を指します。平安時代後期から安土桃山時代にあたり、武士の世の中で日本刀が実戦の武器として発達し、大和・山城・備前・相州・美濃の五箇伝の作風が生まれた時代です。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。
備前伝(五箇伝)の傾向
備前伝は五箇伝の一つです。傾向の詳細は備前伝とはで解説しています。
| 見どころ | 傾向 |
|---|---|
| 姿(すがた) | 区(まち)の近く、刀身の手元寄りから反る「腰反り(こしぞり)」が多い |
| 地鉄(じがね) | 板目肌に杢目(もくめ)が交じる。地に白い影のような「映り」、とくに「乱れ映り」が立つものが多い |
| 刃文(はもん) | 丁子の実を並べたような華やかな丁子乱れが代表的。匂(におい)を主体とした刃文が多い |
| 帽子(ぼうし) | 長船派の長光・景光・真長には、横手の上で乱れて小丸に返る「三作帽子(さんさくぼうし)」が見られるとされる |
関連する刀工・ページ
同じ時代・同じ国(古刀・備前)の刀工
備前国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。
まとめ
長重は、刀剣要覧の位列で「古刀・上々作」、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」と位置づけられている古刀の刀工です。備前国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。