則長(尻懸)の位列と基本情報|刀工データベース

則長(尻懸)(のりなが)は、刀剣要覧の位列で「古刀・上々作」、刀工辞典の位列で「古刀・上作」に位置づけられている刀工です。

尻懸則長とは

尻懸則長(しっかけのりなが)は、鎌倉時代後期に大和国(現在の奈良県)で作刀した刀工で、大和五派の一つ「尻懸派」の実質的な祖とされます。鎬寄りが杢目、刃寄りが柾目に流れる「尻懸肌」と呼ばれる独特の地肌で知られています。

系譜と経歴

尻懸派の開祖は父の則弘とされますが、則弘の現存刀がないため、長男の則長が実質上の祖とみなされています。刀剣ワールドによると、文永12年(建治元年、1275年)ごろに則弘が東大寺の裏手へ移り、同寺のお抱え鍛冶となったことで尻懸派が生まれ、則長へと受け継がれました。文化遺産オンラインの解説によれば、鎌倉時代後期には則長を名乗る刀工が複数代活動していました。

作風の特徴

項目 特徴
姿 鎬幅が広く、鎬が高い大和物らしい造り込み
地鉄 鎬寄りが杢目肌、刃縁寄りが柾目肌に流れる「尻懸肌」
刃文 直刃調に小乱れや互の目がまじる。互の目が揃って並ぶ「玉垣刃」の作もある。二重刃がかかる
帽子 掃掛けなどを交える

地肌が鎬側と刃側で変わるのは尻懸派ならではの特徴で、大和伝の中でも鑑定上の大きな手がかりになります。

代表作

  • 太刀 銘 大和則長作(重要文化財、黒川古文化研究所所蔵):刃長73.3cm。1952年に重要文化財に指定されました。徳川家光から下賜されたと伝わり、姿や造り込みから鎌倉時代後期の作とみられています。直刃に互の目がまじる、大和物の特色をよく示した一振です。

鑑賞・購入のポイント

則長の名は複数代にわたるため、在銘作であっても何代目の作かは判断が分かれます。無銘の作では、尻懸肌の有無が「尻懸」と極められるかどうかの重要な判断材料になります。

基本情報

刀工名 則長(尻懸)
読み のりなが
時代 古刀
国 大和
代 —

位列

位列 位 備考
刀剣要覧の位列 古刀・上々作 第22版(古刀の部・三位)
刀工辞典の位列 古刀・上作 —

位列から見る刀剣界での立ち位置

  • 刀剣要覧の位列:「古刀・上々作」——古刀の部に掲載された181工のうちの一人で、5段階中、上から3番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
  • 刀工辞典の位列:「古刀・上作」——古刀の部に掲載された615工のうちの一人で、5段階中、上から3番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)

位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。

生きた時代と歴史的背景

古刀(〜慶長年間)

古刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)より前に作られた日本刀を指します。平安時代後期から安土桃山時代にあたり、武士の世の中で日本刀が実戦の武器として発達し、大和・山城・備前・相州・美濃の五箇伝の作風が生まれた時代です。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。

大和伝(五箇伝)の傾向

大和伝は五箇伝の一つです。傾向の詳細は大和伝とはで解説しています。

見どころ 傾向
姿(すがた) 鎬筋が高く張り、鎬幅が広い。刀身の中ほどで反る「中反り(なかぞり)」の姿が多い
地鉄(じがね) 板目肌に柾目肌が交じる。保昌派のように全体が柾目肌になるものもある
刃文(はもん) 中程度の沸(にえ)による直刃が基調。ほつれ・打除け(うちのけ)・二重刃・食違刃(くいちがいば)など、刃縁に変化が出やすい
帽子(ぼうし) 焼刃が返らずに棟へ抜ける「焼詰(やきづめ)」や、箒で掃いたようにかすれる「掃掛け(はきかけ)」が見られる

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同じ時代・同じ国(古刀・大和)の刀工

大和国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。

まとめ

則長(尻懸)は、刀剣要覧の位列で「古刀・上々作」、刀工辞典の位列で「古刀・上作」と位置づけられている古刀の刀工です。大和国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。

出典

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