長船元重(おさふねもとしげ)の位列と基本情報|刀工データベース

長船元重(おさふねもとしげ)は、業物位列で「最上大業物」、刀剣要覧の位列で「古刀・最上作」、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」に位置づけられている刀工です。

長船元重とは

長船元重(おさふねもとしげ)は、南北朝時代に備前国長船で活躍した刀工です。長船派の主流である光忠・長光・景光・兼光の系統とは別の「元重系」を代表する刀工で、切れ味の評価では最上大業物、作位でも中古刀上々作とされる実力者です。

系譜と経歴

元重は守重の弟で、重真の兄と伝えられています。生没年は伝わっていませんが、延文元年(1356年)の年紀をもつ脇指が知られており、南北朝時代に作刀していたことがわかります。

また、元重は相州の貞宗の優れた門人「貞宗三哲」の一人に数えられることがあります。ただし作風からはあまり関連が見出せないとも指摘されており、この師弟関係は伝承として受け止めておくのがよいでしょう。長船派全体の流れは長船派の解説をご覧ください。

作風の特徴

見どころ 特徴
地鉄 板目肌で、刃文に沿って映り(うつり)が立つ
刃文(初期) 片落ち互の目など、角ばった互の目が連なる刃文
刃文(後期) 沸のついた直刃に足が入るもの、互の目に足・葉が入るもの

片落ち互の目は、同じ長船派の景光・兼光にも見られる刃文で、備前伝らしい見どころです。刃文の用語は刃文の解説を参考にしてください。

代表作

Wikipediaによると、元重の作は重要文化財に複数指定されています。

  • 重要文化財 刀 無銘元重(東京国立博物館)
  • 重要文化財 刀 銘元重(紀州東照宮)
  • 重要文化財 太刀 銘元重(香川県立ミュージアム)

このほかにも重要文化財・重要美術品に指定された作があります。

鑑賞・購入のポイント

  • 在銘作には「備州長船住元重」などの銘があり、年紀入りの作は活動時期を知る貴重な手がかりになります。銘と年紀の有無をまず確認しましょう。
  • 磨り上げられて無銘となり「元重」と極められた刀もあります。鑑定書で極めの内容を確認しましょう。

基本情報

刀工名 長船元重
読み おさふねもとしげ
時代 古刀
国 備前
代 —
流派 長船派

位列

位列 位 備考
業物位列 最上大業物 —
刀剣要覧の位列 古刀・最上作 第22版(古刀の部・二位)
刀工辞典の位列 古刀・上々作 刀工辞典の時代区分:中古刀(元応-長禄)

位列から見る刀剣界での立ち位置

  • 業物位列:「最上大業物」——この位列に掲載された172工のうちの一人で、4段階中、上から1番目の位です。江戸時代の試し斬りの結果をもとにした、切れ味の格付けです。刀の美しさや出来を評価したものではありません。(一覧を見る)
  • 刀剣要覧の位列:「古刀・最上作」——古刀の部に掲載された181工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
  • 刀工辞典の位列:「古刀・上々作」——古刀の部に掲載された615工のうちの一人で、5段階中、上から2番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)

位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。

生きた時代と歴史的背景

古刀(〜慶長年間)

古刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)より前に作られた日本刀を指します。平安時代後期から安土桃山時代にあたり、武士の世の中で日本刀が実戦の武器として発達し、大和・山城・備前・相州・美濃の五箇伝の作風が生まれた時代です。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。

長船派の作風と鑑定のポイント

以下は長船派全体の一般的な傾向です。個々の刀工・代によって異なり、例外も多くあります。流派の詳しい解説は長船派とはをご覧ください。

見どころ 傾向
姿(すがた) 鎌倉期は腰反りの太刀姿。南北朝期は身幅広く大切先の豪壮な姿も。末備前は反りのやや浅い打刀が多い
地鉄(じがね) 小板目や板目に杢目交じり。映りが立つものが多い
刃文(はもん) 匂出来の丁子乱れが基本。光忠・長光は華やかな丁子、景光は片落ち互の目、兼光は沸の強い作風、末備前は互の目乱れなど
帽子(ぼうし) 長光・真長・景光には、横手の上で乱れて小丸に返る「三作帽子」が見られるとされる
茎・銘(なかご・めい) 「備前国長船住◯◯」「備州長船◯◯」など、国名・地名入りの長銘や年紀入りの作が多い

備前伝(五箇伝)の傾向

備前伝は五箇伝の一つです。傾向の詳細は備前伝とはで解説しています。

見どころ 傾向
姿(すがた) 区(まち)の近く、刀身の手元寄りから反る「腰反り(こしぞり)」が多い
地鉄(じがね) 板目肌に杢目(もくめ)が交じる。地に白い影のような「映り」、とくに「乱れ映り」が立つものが多い
刃文(はもん) 丁子の実を並べたような華やかな丁子乱れが代表的。匂(におい)を主体とした刃文が多い
帽子(ぼうし) 長船派の長光・景光・真長には、横手の上で乱れて小丸に返る「三作帽子(さんさくぼうし)」が見られるとされる

関連する刀工・ページ

同じ流派の刀工

同じ時代・同じ国(古刀・備前)の刀工

備前国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。

まとめ

長船元重は、業物位列で「最上大業物」、刀剣要覧の位列で「古刀・最上作」、刀工辞典の位列で「古刀・上々作」と位置づけられている古刀の刀工です。備前国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。

出典

刀工データベース トップへ戻る