与三左衛門祐定(よそざえもんすけさだ)の位列と基本情報|刀工データベース

与三左衛門祐定(よそざえもんすけさだ)は、業物位列で「大業物」、刀剣要覧の位列で「古刀・上作」、刀工辞典の位列で「古刀・最上作」に位置づけられている刀工です。

与三左衛門尉祐定とは

与三左衛門尉祐定(よそうざえもんのじょうすけさだ)は、室町時代後期に備前国長船(現在の岡山県瀬戸内市)で活躍した長船派の刀工です。室町後期の備前刀、いわゆる「末備前(すえびぜん)」を代表する名工で、数多い「祐定」の中でも最高の技量を持つ刀工と評価されています。永正年間(1504〜1521年)ごろを中心に作刀しました。

系譜と経歴

「祐定」の名は一人の刀工ではなく、室町時代から江戸時代にかけて非常に多くの刀工が名乗った、いわばブランドのような名前です。その中で、俗名(通称)の「与三左衛門尉」を銘に切った祐定が最も高く評価されています。永正ごろには、与三左衛門尉のほか彦兵衛尉祐定・源兵衛尉祐定などの名工が並び立っていました。彦兵衛尉祐定は与三左衛門尉祐定の父と説明されることがあります。

年紀のある作は永正から天文ごろまで見られ、東京国立博物館には「大永三年(1523年)」の年紀がある刀も所蔵されています。与三左衛門尉を名乗る祐定は複数代いた可能性も指摘されており、二代については与三左衛門尉祐定(二代)をご覧ください。

作風の特徴

作風は多彩で、互の目丁子、直刃、皆焼(ひたつら)まで焼き分けています。なかでも有名なのが、互の目の頭が二つに割れて蟹のはさみのように見える「蟹の爪(かにのつめ)」と呼ばれる刃文です。

見どころ 特徴
地鉄 板目に杢目が交じる
刃文 腰の開いた互の目丁子が代表的。焼頭が二つに割れた「蟹の爪」が名高い。直刃や皆焼もある
銘 「備前国住長船与三左衛門尉祐定作」など、俗名を入れた長銘

刃文の見方は刃文の種類、備前刀の全体像は備前伝で解説しています。

鑑賞・購入のポイント

戦国時代の需要に応えて、末備前では「祐定」とだけ切った量産品(数打物)も大量に作られました。一方、「与三左衛門尉」のように俗名まで入れた作は注文打ちとされ、評価が格段に高くなります。そのため俗名入りの銘は偽銘も多いと考えておくのが無難です。購入の際は、日本美術刀剣保存協会の鑑定書で極めを確認することをおすすめします。

基本情報

刀工名 与三左衛門祐定
読み よそざえもんすけさだ
時代 古刀
国 備前
代 —
流派 長船派

位列

位列 位 備考
業物位列 大業物 つるぎの屋は「長船祐定(与三左衛門・永正)」。
刀剣要覧の位列 古刀・上作 第22版(古刀の部・四位)
刀工辞典の位列 古刀・最上作 刀工辞典の時代区分:末古刀(寛正-文禄)

位列から見る刀剣界での立ち位置

  • 業物位列:「大業物」——この位列に掲載された172工のうちの一人で、4段階中、上から2番目の位です。江戸時代の試し斬りの結果をもとにした、切れ味の格付けです。刀の美しさや出来を評価したものではありません。(一覧を見る)
  • 刀剣要覧の位列:「古刀・上作」——古刀の部に掲載された181工のうちの一人で、5段階中、上から4番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです。古刀・新刀・新々刀ごとに段階が分かれています。(一覧を見る)
  • 刀工辞典の位列:「古刀・最上作」——古刀の部に掲載された615工のうちの一人で、5段階中、上から1番目の位です。刀工の技量・出来(作位)を示す格付けです(最上作〜中作の5段階)。(一覧を見る)

位列は資料ごとに評価の基準が異なります。見方は刀工の位列とはで解説しています。

生きた時代と歴史的背景

古刀(〜慶長年間)

古刀とは、一般に慶長年間(1596年〜)より前に作られた日本刀を指します。平安時代後期から安土桃山時代にあたり、武士の世の中で日本刀が実戦の武器として発達し、大和・山城・備前・相州・美濃の五箇伝の作風が生まれた時代です。詳しくは古刀・新刀・新々刀・現代刀の違いをご覧ください。

長船派の作風と鑑定のポイント

以下は長船派全体の一般的な傾向です。個々の刀工・代によって異なり、例外も多くあります。流派の詳しい解説は長船派とはをご覧ください。

見どころ 傾向
姿(すがた) 鎌倉期は腰反りの太刀姿。南北朝期は身幅広く大切先の豪壮な姿も。末備前は反りのやや浅い打刀が多い
地鉄(じがね) 小板目や板目に杢目交じり。映りが立つものが多い
刃文(はもん) 匂出来の丁子乱れが基本。光忠・長光は華やかな丁子、景光は片落ち互の目、兼光は沸の強い作風、末備前は互の目乱れなど
帽子(ぼうし) 長光・真長・景光には、横手の上で乱れて小丸に返る「三作帽子」が見られるとされる
茎・銘(なかご・めい) 「備前国長船住◯◯」「備州長船◯◯」など、国名・地名入りの長銘や年紀入りの作が多い

備前伝(五箇伝)の傾向

備前伝は五箇伝の一つです。傾向の詳細は備前伝とはで解説しています。

見どころ 傾向
姿(すがた) 区(まち)の近く、刀身の手元寄りから反る「腰反り(こしぞり)」が多い
地鉄(じがね) 板目肌に杢目(もくめ)が交じる。地に白い影のような「映り」、とくに「乱れ映り」が立つものが多い
刃文(はもん) 丁子の実を並べたような華やかな丁子乱れが代表的。匂(におい)を主体とした刃文が多い
帽子(ぼうし) 長船派の長光・景光・真長には、横手の上で乱れて小丸に返る「三作帽子(さんさくぼうし)」が見られるとされる

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備前国が現在のどの都道府県にあたるかは旧国名一覧で確認できます。

まとめ

与三左衛門祐定は、業物位列で「大業物」、刀剣要覧の位列で「古刀・上作」、刀工辞典の位列で「古刀・最上作」と位置づけられている古刀の刀工です。備前国の刀工とされます。位列は刀工への評価であり、一振りごとの出来や真贋を保証するものではありません。実際の刀を見るときは、姿・地鉄・刃文を自分の目で確かめることが大切です。鑑賞のポイントは日本刀の鑑賞方法で解説しています。

出典

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